YYMMDD

2024年2月20日(火)

「もしかしてポ太郎さん!?」と本当に久しぶりに会った人に話しかけられた。関係と名前が思い出せずオロオロしていたら、「私です! ナツミ!」と教えてくれたので、それを頼りに思い出が一気によみがえり、勢いに任せて無い記憶まで生成されてしまい、「ああ、なっちゃん!」と呼んだこともないあだ名で彼女を呼んでしまった。なっちゃんは会話を閉じるための微笑みを浮かべた。私たちは別れた。

 仕事を続けることが厳しそうですと伝えた日からかえって責任者が優しくなって、私の日常業務の些細な工夫をすべて暴いて伝えてくれる。それが管理者としてのテクニックだったとしても、だとしてもということもなく、私もそんな眼がほしい。目が良くなりたい。



2024年2月21日(水)

 雨。長い休館を明けた図書館に寄る人たち、私もそのうちの一人。この町の図書館にある伊藤計劃の本は、全て同じ調子で手垢がこびりついている。

 割引になっていた豚バラ肉とセロリを炒めてオイスターソースメインの味付け、米は炊いてないから無い。ねっとりした豆腐を食べた。



2024年2月22日(木)

 派遣先に来客あり、会社名で調べてみると派遣会社だった。私はいよいよ辞めることが決まったのか!? 誰からも何も聞いていない。 非正規雇用ロケットえんぴつや!



2024年2月23日(金)

 ある人らのあるイベントを共同で行なった。ある人らの子と一緒に遊んでいろんなこと教えてもらい楽しかった。やはり子どもから教わるのが好きだなと思う。

 夜は焼き肉をご馳走していただき嬉しい。巻き野菜を2回頼んだ(胃もたれが多いお年頃の、米が進む、みたいな感覚)。



飛び



2024年3月6日(水)

 2100年には死んでいること確定として「240301」と日付を書く時の、でも2000年に生まれた子だって友達にいるんだぜの、YYMMDD。

労働に日記を乗っ取られ12月

 飲んだ覚えのないコーヒーがカバンから出てくる、というような酔っ払い方をいまだにしてしまうのか。朝起きて、職場の人の子どもの写真とか思い出して、自分の部屋は馬鹿みたいに散らかっていて、そこに誇りは何もなくて、お酒を飲んで曖昧になった不安が逆襲のように浮かび上がる。それでも最近は「まあいいか」への切り替えが早く、それは人生の受容ではなく無関心なのであまり良いことではないんだが、あーあ、昨日のごはんだけ美味しかったな。

 非正規雇用労働者(派遣社員)として働いて数ヶ月経ち、仕事ぶりをやたら褒められ正社員採用を匂わせてくるもんで「どうせフルタイム週5でやってんだからそれがいいなあ!」と叫んでみたらいやそれはちょっと難しいみたいになってるのが今。「釣られクマー!」と派遣元の営業に愚痴ってみたらお気持ちは分かりますが会社を悪く言わないでくださいとたしなめられた。お気持ちはよく分かりますが、だって。私だって労働者を雑に使いたいお気持ちはよく分かる。でも釣りはダメだろ!

 こんな具合にいつまでも労働のことばかり考えてしまう自分が情けない。人生の序盤に努力の味を覚えて、見事に今それを実らせている人を見るたび羨ましくなるし、実らなくたって誇りを持って生活している人を見るたびに羨ましくなるし、労働は労働と適当に割り切って人生の課題に取り組んでいる人を見るたびに嫉妬する。自分は労働に文句を言うことで満たされているのかもしれない。もちろん嫌だこんなことは。嫌なんだよー、でも嫌なんだよー!

「お金をたくさん得たとして、労働しなくて良くなったとして、それであなたは何をするの?」

 もうやりたいこと見つけられらなくなっちゃった、「インプットの量が圧倒的に足りない」あっ訳を知ってる若者だ、でもねえ見て、見てよ私のこの空虚を

2023年11月4日(土)〜6日(月) 全国的な欠勤

2023年11月4日(土)
二郎系ラーメン食い初めの日

 二郎系ラーメンを体験しに行った。友人含め3人で列に加わったのだが、二郎系ラーメンに於いて3人はあまり歓迎されない構成らしい、先に2人組を案内する旨告げられて、もちろん大丈夫ですと過剰に寛容ぶって後ろの集団の先頭に回る。

 並んでいる間に店員が麺の量を聞きに来るシステムで、私はしっかりと下調べをした上で堂々と「半分」をオーダー。友人はそもそも選択肢に何があるかを把握していなかったようで、その場で「よく分かってないけど何があるんですか……?」と尋ねていた。すごい。愛されて生きてきた人だ。私は口コミを読み漁りブログを読み漁り注文のシミュレーションを繰り返していたのだが、その場で店員に訊くという手段があることを知らなかった。人に頼るというスキルは重要だ。

 店員が捌きやすい数の集団にまとめられ、集団単位で待合室のようなところに詰められ、注文のルールを示された貼り紙を熱心に読み、チーム名「3名様」がついに呼ばれて床をつるつると滑りながら着席、私は謙虚な初心者を演じるためだけに「そのままで」とコールし、あとはもう完食するまで降りることの叶わない食事を完遂、退席した。

 塩辛かった。とにかく塩辛かった。アブラを感じたい。味の濃いものを食べたい。私の中に眠っていた欲望がいっせいに呼び覚まされ、満たされ、奇妙な満足感を得た一方で、美味しいとは感じていない自分にも気付いていた。3人とも「この中に一人でもめちゃくちゃ気に入った人がいたらどうしよう」という感じでおそるおそる感想を探り合い、みんな「体験としては良かったけどもう一度行きたいとはならない」というところに落ち着いた。次行くとしたら一人でこっそり行こう。



2023年11月5日(日)

 顔がむっくむくにむくむ。塩分の摂りすぎだと思う。バナナを食べアボカドを食べ、排出の機運を高める。

 同性ばかりが出てくるアニメをだらだら観た。

 日曜日の夜はいつも苦しい。さっさと終わらせて翌週を迎えさえすれば、完食まで逃れられない二郎系ラーメン宜しくなんとか乗り切ることが出来ると分かっているのに、どうしても27時まで今週に踏みとどまってしまう。大変な業務をやっている訳ではない。人間関係もそれなりである。マイファースト職場に比べれば圧倒的に楽なのに、ほんとのほんとに行きたくなくて(涙)、ほんとのほんとに行きたくない(涙)(涙)(涙)。

 他の人がどうであろうと自分の行きたくなさは変わらないが、「行きたくない」とか「辞めたい」とかいう絶望ワードでTwitter(現X)を検索するのをやめられない。かわいそう仲間を見つけて慰めとしている。ニチヨルの私のためにネガティブ検索を潤してくれてありがとう。

 蚊。



2023年11月6日(月)

 曇りで暑い。蒸し暑い。半袖で攻めたい気分を目立ちたくない気分が上回り長袖出勤。「ジャケット羽織るは10月から」と定められた社員の皆さんの中で、のっぺりと肌を晒す勇気がない。暦と紐付けた衣替えの時期はさっさと見直すべきだと思うが、心の中の大衆の部分がそれを許すまでに結構な時間が掛かりそうである。

 バスが職場に近づくにつれて不安がむくむくと膨らんで胃を押しつぶす。てかてかした笑顔、甲高い声、隙間時間のゴルフの素振り、受け入れ難い偏見、横スクロール型Excel、怒気、怒気、怒気怒気、怒気怒気怒気怒気……。着いたら着いたで、みんな私より20分は前から着席して黙々と仕事をしているので、日本シリーズ盛り上がりまちたね、なんて、へらへら雑談する隙もなく、すごすごと着席。社全体の出勤状況を確認すると欠勤遅刻がいつもより多く、ちょっぴりホッとする。月曜欠勤よ社風となれ。

 利発そうな子どもが美しい母親と手を繋いで歩いていた。跳ねるような足取りがさらさらと髪を左右に揺らす。輝かしい未来に祝福を捧げた。

 11月を裏切る暑さに耐えかね、一人になったタイミングでこっそり冷房を付けたらすぐに偉い人が帰ってきて、「冷房入れてんの!?」とびっくりされた。丹田に力を込めて「はい!」と応えた。「今日暑いもんな!」と納得してくれた。適温に必要なものは虚勢。

 夜、友人と会ってお茶を買って食事。友人の職場でも本日は欠勤が多かったとのことで嬉しかった。また満腹以上にご飯を食べてしまった。


あっさり系

2023年10月23日(月) 友達います宣言

 友達がいる。最近いる。しかし私の理想とする遊ぶ頻度は週3で、今いる友達の数で週3遊ぼうと思ったら間違いなくリレーで2回走らされるアレになる。必ずウンザリされてしまう。手札の山が切れている状態の時に思わず「友達おらんねん……」とウジウジしてみたくなっちゃうのだが、正しくは「山尽きてんねん……」である。

 みんな当たり前みたいに一人暮らしをしているが、私は一人で暮らすのがさみCくてさみ Cくて堪らない日が週2であって、/友達いない/とか/恋人いない/とか/独身です/とか自虐として繰り出す人は多いけど、本当の心は「同居人おらんねん……」なのではなかろか? と思わなくもない。いや、思わなくない! 実家で暮らしたくないさまざまな事情がなければ、私も実家でお兄ちゃんと鳴きながら萌えアニメ観たいんだが。

 さみCくてさみCくて堪らない日が週4の人の、週3の愚痴を見つけては「ああッやっぱり同居なんてクダラナイんだ」と心を落ち着けようとする試みも虚しいと分かっている。あの子たちの甘美な週4を見て見ぬふりをして私の週7の孤独の拠り所とする虚しい試みをやめよう。コードネーム孤独、好きな食べ物はつぶ貝、趣味は不健康だけど最近は我慢してポテチ我慢してます。

↑ここまでどうでもいい

 月曜の朝のアホ毛の量がすごい。職場に着いてから鏡を見てびっくりする。「今日はやる気がありません」と総立ちでアピールしている。不機嫌で人をコントロールするようになったら終わりだが、アホ毛の数でエネルギー残量の少ないことを伝えるやり口は、あるいは……?

↑絵日記要素

 せっかくソース食べたくて食べたくてたまらない気分だったのに、昼ごはんにスーパーの惣菜のお好み焼きを食べてしまった。しまった。おいしかったけど、しまった。春巻き食べたい気分こそは大事に育てる。

おわおわり

2023年10月17日(火) 松本俊彦編『「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか』

「あの封筒(青い)大急ぎで送っといて!」と頼まれ速達で送ったのがぜんぜん別の封筒(青い)で、「これからは本当に気をつけてね……w(怒)(怒)(怒)」というお言葉をいただいたが、私に間違えさせない工夫が足りてないせいで全然反省できない。もちろん誰もそんな工夫はしてくれないので、自分で図画工作をし対応する。私が働きやすいってことはあんたたちも働きやすいってことなンですよ……と恩着せがましい毎日を過ごしている。ミスした数だけ図工増えるよ!

 ミスタードーナツ松本俊彦編『「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか』(日本評論社を読んだ。途中まで。援助希求の乏しい当事者としても、きっとそうであろう知人がいる身としても面白い。 

 今日読んだ中で一番グンとキたのが「Ⅰ 助けを求められない心理」の「4 「助けて」ではなく死にたい――自殺・自傷の心理」。筆者は勝又陽太郎さんである。

筆者は最近、「SOSの出し方」や「援助希求」の代わりに、「援助の成立」という言葉を使っている。(略)自殺予防のためには、悩みを抱えた人とそれを援助する人との間で援助関係が成り立つ必要がある。そのためには、単に悩みを抱える人が援助を求められるようになるだけではなく、それをきちんと受け止める援助者側の対応も重要であると強調したい。(p.43)

「助けてって言ってくれないことには始まんないだろ!」というようなことは自分に対しても思うのだが、援助の成立しない原因を現在の自分にだけ求めたり、他人に求めたりするのは、確かに非常に辛い。苦しい。

 自分が非専門家として、誰かの友達として、援助の成立に一役買うには一体どう過ごしていたら良いだろう。なんて、自分自身ふらふらして今にも倒れそうな体だけど、そんなわたしたちの押し合い圧し合いで結果なんかみんななんとか立ってるよね、みたいな状態に憧れたりもするのである。そして数千年後、土星におしくらまんじゅう大帝国が建国されたとか、されなかったとか……(………………。)。

 ほっといてほしい、みたいな態度を自分もとりがちなのだが、幸い自分には、過去の悪事は忘れたふりをしてくれるのに私のことは忘れないでいてくれる最高友達などがいてくれるお陰でかなり救われているので、それって結構大事なんじゃないかなあと思う。なんかすごくいい言葉じゃないですか?「忘れっぽいのに忘れてくれない友達」……。都合の良い最高の友達……。

「死にたい」ではなく、「悲しい」「つらい」「一人でいるのが寂しい」といった言葉で表現するほうが、周りの人もずっと相談にのりやすくなるだろう。しかも、そうなった時の「死にたい」という言葉は、きちんと事の重大さを伝えられる言葉として機能するようになるはずである。このように、モノクロの「死にたい」という言葉にきちんと色をつけていく練習を積むことは、他者との新しいつながり方の構築に寄与するものと思われる。(p.53)

「つらい」でも「寂しい」でも「死にたい」でも、安心して伝えられる物体になれるといいのだが。書籍、面白いので気になったら読んでみてください。私も明日続きを読みます。ミスタードーナツにも行ってみてください。コーヒーおかわりも出来ます。