おへそのおなか


週報最終号 vol.2

 日曜日の夜に更新していきたい需要度外視の週報です。今週は髪を切ったり、歯医者さんに挑んだり、服を着てお風呂に入ったりしてみました。

日記(7/1~7/7)

7月1日(日)

 日付けが変わると急に7月になった。びっくりした。そうか、6月には31日がないのか。驚きのあまり「7月になって驚いた」という旨のツイートをしたら同じく驚いている人がいたんだけど、まあ別に月が変わったからといってなにということもないよな……、という話になった。年末年始は年一回だからかなりびっくりするけど、げつまつげっし(変換できない)は年12回やってくるし、そんなものなんだろうか。カレンダーをべりべりと2枚めくる。ようやくこの部屋の5月が終わった。

 深夜3時からW杯を観た。ハーフタイムでコンビニにビールを買いに行ったのが4時くらいだったんだけど、その時間はコンビニの空気がしゃっきりしていてとても良かった。あのしゃっきり感の正体はなんだったんだろう。応援していたポルトガルは敗れた。

 昼に起き、人生で初めてサバの水煮缶を食べたらしょっぱかった。びっくりした(12時間ぶり)。真水で煮たサバじゃないのか。ラーメンだったら醤油ラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメンとなるところが、サバだと醤油煮、味噌煮、水煮になるのは変じゃないか。水ラーメンは全然おいしそうじゃないけど。


7月2日(月)

 7月最初の平日。

 暑かった。暑いのが苦手なので早くどうにかなってほしい。寒さについてはがんばりますから。暑さだけはどうか早くどうにかなってください。暑いのは本当に嫌です。

 カフェの店員さんへ。滞在の意志を一口分残したコーヒーで表してごめんなさい。閉店15分前には店を出ることで良客ぶろうとしてごめんなさい。また来ます。


7月3日(火)

 髪を切るのが嫌いというか、美容室という場所が苦手だ。親切にされればされるほど困ってしまう。気に入った気がした美容室も、数回行くとこちらがなにと言わなくても「最近あれどうです」なんて持ち前のコミュニケーション能力を遺憾なく発揮してくるので、かえってまごまごする。覚えられたら終わりだ。

 とはいえいい加減見苦しくなってきたので、ようやく美容室を予約した。初めて行くところだ。ところで私が普段持ち歩くリュックサックはタウンユースの型に漏れ、やたら大きく重たいんだけど、それは読むか読まないか分からない分厚い本を何冊も詰め込んでいるせいだ。美容室となると大抵お荷物をお預かられてしまうので、美容室に来るのにこんなに重い荷物を持ってきやがって気味の悪い奴、帰れ、二度と来るな、引っ越せ、と思われるのが怖くて、泣く泣く2冊に厳選して出かけた。

 美容室に行ったら、ニット帽の上にサングラスを乗せた美容師さんが出てきてぎょっとした。季節を欲張るな。どういう感じにしますかと聞かれ、短くしてください、あと速く乾くと嬉しいですと答えたら、苦笑しながら『ゆるふわ愛されヘアカタログ』を差し出されたのでまたぎょっとした。ゆるふわ愛されヘア(ver.速乾)になりました。安い代わりにシャンプーブローはなく、ばさばさ頭を振ったらわんわん毛が降ってきた。

 天気予報を見るのが面倒くさくて、出かけてから町の人たちが傘をやたら持ち歩いているので今日は雨が降るんだなと分かるんだけど、分かったところで傘は持ってきていない。覚悟を決めるだけだ。

 ビアガーデンに行く日にちを決めている人たちがいた。外でビールが飲みたい。

 久しぶりにラーメンを食べた。にんにくを3かけ絞った。横に座った大学生らしき男性2人組はフジロック帰りみたいな格好をしていた。バリカタ頼みそうだな、と思って見ていたら、2人ともバリカタを頼んだ。一口食べて「これこれ」って言ってた。

 雨が降る前に帰れた。風が強くて、植木鉢がひっくり返っていた。

 ラジオを聴きながらお風呂に入った。髪はすぐ乾いたんだけど、左右の長さがばらばらだ。狙ってそういう感じにしたと思われたら恥ずかしい。


7月4日(水)

 台風は寝ている間にほとんど過ぎたのか、起きたら絞りかすみたいな雨と風が残っているだけだった。

 岡山PEPPERLANDにライブを観に行った。ながいひるTシャツ、初おろし。初めて観るバンドが多かったんだけどかっこよかった。外でビールを飲んだ。

 シャワーを浴びながらチャットモンチーの『サラバ青春』を歌って寝た。


7月5日(木)

 (この段落は夢オチです)歯医者さんに殴られ、気絶している間に親知らずを抜かれていた。無痛だったことに感動して「最近の歯科医院は抜歯も無痛! 気絶している間に事が済む!」とツイートしたところで目が覚めた。

 (ここから現実パートです)歯科医院に行った。ナめられたらいけないので、朝起きてシャワーを浴び念入りに体を洗い、洗い流さないトリートメント(いい匂いがするやつ)を1プッシュ多めに付けた。歯医者さんはすぐナめるから……。

 歯科医院では、恥ずかしいところをたくさん見られた。レントゲンまで撮られた。口をずっと開けさせられて、大きい音がする唾液とかを吸う機械みたいなので、ずぽっと口の内側とか、舌とか吸われて、もう本当に恥ずかしかった。あと、口の開閉のタイミングが分からなくて、大体いつもひと段落した時に「楽にしてくださいね」と言ってくれるんだけど、それを言われなくて口内への諸々の侵入が途絶えた時に顎が疲れたのでスゥ……と口を閉じてみたんだけど、完全に閉めきる勇気もなく、半開きで過ごした。間抜けだった。ひどいよ。歯医者さんの恥ずかしいところも見せてよ。前略プロフとか見せてよ。私ばっかり……。ひどいよ……。すっかりぐったりしてお会計をしようと思ったら「初診なので4,400円です」と言われた。3,800円しか持っていなかった。恥じらいの涙は雨が流してくれるサ、と思いながらコンビニでお金を下ろした。また来週行きます。

 その後、友達と合流。昼ごはんにパスタを食べた。箸で。お互いに箸の使い方がなっておらず「パスタはフォークだね」と言いながら食べた。おいしかったけど、何で箸がデフォルトなんだ? ムード作り? 腹ごしらえを済ませて映画を観た。松岡茉優さんが松岡茉優さんだと分からなかった(褒めてる)。エッチなシーンが、過激じゃないのに大変エッチだった。後でTwitterを見たら「あの程度でエロいとか言ってる奴w」みたいなことを書いてる人がいた。この人とは絶対に友達にならない。

 映画の後、居酒屋に行った。見た目にこだわっているお酒を久しぶりに飲んだ。近頃は酔えればオッケーという飲み方しかしていなかったので……。料理も全部きれいでおいしかったんだけど、きれい過ぎる味付けに妙に不安になってしまった。上品な味付けの店で「サービスのペヤングです」とか言って食後にペヤング差し出されたらめちゃくちゃ最高だし、すぐ潰れるだろうな。

 傘もカッパもバスも電車もあるのに、何にも頼らず自転車を漕いだ。思ったより濡れなかった。物足りなくて服を着たままお風呂に入ってみた(汚ねえなと思った人は社会に毒されていますよ)。着衣水泳を思い出した。これはこれで楽しいんだけど、前みたいに土砂降りの雨で何もかもびしょ濡れになった時の感動とは違うなあ、と思いながら湯船の中で靴下とパンツを脱いでみた瞬間、何でプライベートな場でノーパン入浴なんかしてるんだろう、という気持ちになった。ん? でも、みんなだっていつもノーパンでお風呂に入るよな。パンツ以外を着ているからこそ、ノーパンでいられるのか。ふむ。ノーパンって面白い言葉。


7月6日(金)

 家に液体しかなかったけど、固形物が欲しくなって、コーヒー牛乳に片栗粉を入れてレンジで温めてみた(この世のすべての液体は片栗粉を入れて熱すると固形物になるから)。どろどろの片栗粉風味のコーヒー牛乳になった。本当にまずかった。スーパーでパンを買った。おいしかった。水とどん兵衛も多めに買った。水とどん兵衛があれば大体のことは大丈夫だから。

 大雨で避難指示が出ている地域もたくさんある。交通もいつも通りには動けない(動くべきでもない)。週末ということもあって各地でいろいろなイベントがあると思う、開催する側の苦労を知らないことを自覚した上で言うけど、安全と秤にかけなきゃいけないようなら全部中止にしていいと思う。生活は雨が止んでも続いていく。


7月7日(土)

 サイレンの音を聞きながら寝て、昼過ぎに起きた。安否の確認をしたりされたりした。

 夜に1人で散歩した。岡山県庁は夜遅くまで煌々と明かりが灯っていて、町では酔っ払いがはしゃいでいて、口元の緩みきった男性が女性の肩を抱いてホテルに入っていって、駅では新幹線の運行が再開していた。商店街の楽器屋さんでは演奏会をしていて、角で盗み聞きをしながらビールを飲んだ。スーパーでお酒を買って家に帰った。帰る途中にまた岡山の一部地域に避難指示が発令された。インターネットをしながらビールを飲んだ。水がなかなか引かない。合ってるとか、合ってないとかはあるかもしれないけど、自分の生活をやっていくしかない。

 ゲームのプレイ動画を観ていたら朝になっていた。泥酔しながら寝た。

共感を得られるかどうか分からないこと1選

人と映画を観に行くとエンドロールに入った途端「終わった後の第一声どうしよう」という焦りが生じる

 どうですか?(1選なのでこれで終わり)

読書ゆる記録(ネタバレ有り)

人間失格』 - 太宰治

 男がとことん道をそれて自覚する真理めいたもの、例えば「世間というのは、君じゃないか」「世の中の人間にだって、果して、『愛』の才能があるのかどうか、たいへん疑問に思っています」等々、それ自体はなんてことないように思えるので、まるで彼に同調したいような気持ちになるけれど、私は太宰治にはなれないよな(当たり前だ)。翳りを宿した才能に触れる時、その苦難を嗅ぎ取りつつもどうしても憧れてしまう。松葉杖をつきたかった気持ちに似ているかも。

人間失格 (角川文庫)

人間失格 (角川文庫)

夫婦茶碗』 - 町田康

 町田康さんの小説を初めて読んだことをある人に伝えたら「卵の取り出し方にもこだわる人」という噂を聞いて、なんだそのいかにもなこだわりは、と思って探してたどり着いた作品。卵の取り出し方でそんなに文を書くのかよ、という驚愕。あああ。あああ。あああああ、と思いながら本を閉じた。

夫婦茶碗 (新潮文庫)

夫婦茶碗 (新潮文庫)

『入門! 論理学』 - 野矢茂樹

 タテ書きの論理学入門書。本の内容もなんだけど、野矢茂樹さんは、とっかかりのところで本の正体を明かしてくれるのでそれが好きなのかなと思う。哲学に通ずるところもあって面白かった。論理学は日本語以前の言語。否定って実はすごく難しい。半分くらいしか読んでない。また来週。

入門!論理学 (中公新書)

入門!論理学 (中公新書)

『心という難問』 - 野矢茂樹

 救いを求めて哲学に走るのは予後が悪そうだけど、野矢茂樹さんの哲学は明るくていい。はじめに「哲学用語も哲学の学説も何ひとつ知らなくとも、私とともに進んでいけるはずである」という記述があって、まさにその通り一つひとつ丁寧に……書いているのですが……まだ最初の方しか読んでない。また来週。

心という難問 空間・身体・意味

心という難問 空間・身体・意味