おへそのおなか


夏野菜の色をした尾道の町を歩く

 電車を降りて目に飛び込んできた景色は、あまりにも鮮やかだった。暑ささえ手玉に取ったような尾道の色。とれたての夏野菜みたいだ。

 坂の町、映画の町、文学の町、なんとやらの町など数々のすばらしい枕詞とともにその名を全国に知らしめている尾道だけど、恥ずかしながら文化的素養のない自分にはどれもいまいちぴんと来ず、ただ単に「好きだから好き」としか言いようのない町だ。

 裏付けのある「好き」ってきっと強いんだろうなあ、と思いながら、結局なにも考えずぽくぽくと尾道を歩いた時のことを写真と文で振り返ろうと思う。いろいろ物足りないとは思いますがよかったら見てください。



 朝の内に着いたので、坂道が広がる駅の北側を歩いてみると、早速いい曲がり道を発見。

 この先になにが続くんだろう。心ときめくいい曲がり道である。



 駅前の居酒屋。

 なにもかもが日光にさらされている。

 散髪屋さんのタオルもあっという間に乾きそう。

 暮らし。

 あまりの暑さに、ひまわりもぐったり。

 どこまでも登りたくなる坂道。

 夏の輪郭。

 忘れられた自転車。

 尾道でしか見られない張り紙。犬が恥ずかしがっている。

 青い。



 踏切を渡ると商店街が広がる。

 林芙美子さんの像。

 商店街の入り口にある褪せた看板の金券ショップ。

 名前になんだか親近感の湧く喫茶店

 尾道の朝は終わらない。手書きのいい文字。

 大通りからは海へと続く小路が伸びている。浮かれたピンク色がかわいい。

 商店街には七夕飾り。柱の色がかなりいい。

 かつては何が建っていたのだろう。壁に残された思い出の版画。



 昼食は「めん処みやち」にて。

 開店後すぐに行ったのだが、既に先客で賑わっていた。地元の方が多そうだ。営業日が書かれたカレンダーにはすこし前まで「断水休」という文字がずらりと続いていた。

 安い!

 中華そば500円。たいへんおいしかった!



 また商店街を歩く。

 看板を見ているだけでも楽しい。

 なんだこのキャラクターは?

 すっかりバテてしまっている。

 以前尾道に来たときに訪れた喫茶店「バラ屋」。ホイップクリームが高く盛られたパンケーキおいしかったな。

 チョーク造りの線路が続いている。

 空が額縁に入っている。

 カープ強い!

 見られている……。

 出動準備のウルトラマン(ですよね?)。

 片子ども靴の落とし物。通りかかった誰かがここに置いていったのだろう。介入型の落とし物を見つけると嬉しくなる。

 早く持ち主のところに帰れるといいね。

 重石。



 歩いている時に偶然見つけた喫茶店。いいでしょ。

 いいでしょ!

 ということで入りました。窓からの長め。角度によって見えるものが変わる。

 瀬戸内レモンスカッシュをいただいた。前日のカープの劇的サヨナラVが大きく報じられたスポニチ

 ごちそうさまでした。



 先ほど窓から見えていたトイレ。男女マークを木で表している。

 尾道はとにかく猫によく出会う。そしてあまり逃げない。

 ニャン

 いい。



 喫茶「キツネ雨」で休憩。

 白狐チーズケーキ。かわいい。

 インテリアも本棚も店員さんも本当にすてきだった。本を読んですっかり長居させてもらった。

▶︎表 - cafe-kitsuneame ページ!



 ピンクと薄グレーのタイルの組み合わせがかわいい。

 こちらは大人な雰囲気。

 ヘンタイバッジ・ワッペン。ずいぶん頭でっかちなフォントだ。

 こちらも大人な雰囲気。



 路地で写真を撮りながら歩いていると、日に焼けたおじいちゃんが声をかけてくれた。薄手のシャツは開きっぱなしで乳首が丸見えである。今日はお祭りがあるらしく、水祭りの場所を教えてもらった。

 夕方になったら催しが始まるから見においで、と言ってくれた。しばらく一緒に町を歩いてから別れた。



 ですよね。

 分かります。

 そう思います。

 本当に。

 またね。



 井戸水。断水に際して活躍したのであろう。色がすてき。



 古本屋弐拾dBに行ったんだけど、写真を撮っていなかった……。SNSなどをご確認ください。おもしろかった。

 購入した本。ブックカバーがすてき。

 平日は深夜営業で、店主の藤井さんいわく深夜の方がいいらしい。いろいろ。次は深夜営業の時に行ってみようと思う。

▶︎藤井(古本屋 弐拾dB) (@1924DADA) | Twitter



 宝石を敷き詰めたようなタイル。

 青色がきれい。

 (たぶん)お祭りのため急きょ手書き。

 先のウルトラマンが出動していた。

 なに持ってるの?

 なに持ってるの。

 「曇りガラスの向こう側」フェチです。お行儀よく並んでいる調味料のスタメンたちがかわいい!

 積み木みたい。



 ライブ「みなとにて。」へ。 

 会場向かいにあるビルもとっても気になります。



 以降、ライブの感想のようなもの(感想を表すのがすごく苦手なのでさらさらと)。

 大体なつみさん、バンドセット。力強い歌声が美しい。演奏している人たちも楽しそう。大体なつみさんは尾道の方らしい。その土地の人がその土地でうたう歌……!

 台風クラブ。昨年の9月にも尾道台風クラブを観た。海辺の町で聴く台風クラブはいいものだ。今日もすごく好きだった。きらきらしていた。

 なおこれは昨年9月のフライヤー。おわかりいただけただろうか。



 台風クラブ後の転換の時に、近所でやっていた尾道の水祭りを覗いてみた。水を浴びてはしゃぐ子どもの笑顔があふれていた。

 マジックショーをしているステージの周りに、昼間、町を案内してくれたおじいちゃんの姿を見つけたので、一緒にショーを観た。ショーを観て喜ぶおじいちゃんは、やっぱり乳首が丸見えだった。



 たなかけんすけさん。弾き語り。詩が歌になみのりしていた。

 Easycome。ボーカルちーかまさんに釘づけ。アルバムを買った。

 ガリザベンさん。弾き語りは初めて聴いた。すてきだった。

 星のクズさまたち。アントニオ・ポグチさんとは京都で初めて会って以来なんだか縁があって(と勝手に思っている)短期間で3回会っている。この前岡山で星の王子さまたちのバンドを観たんだけど、今回もすごく盛り上がっていた。楽しかった。

 トリを飾ったのは、尾道の3ピース兄弟バンドみなとCo.(読みはみなとシーオー)。Coはカンパニーの意味らしく、兄弟3人で農業をやっているらしい。MCでカボチャの収穫について話すバンドを初めて観た。すてきだぜ。初ライブとは思えないくらいかっこよかった。初ライブに立ち会えて超ラッキーだ。



 ライブ後みんなでお酒を飲んだ。尾道で暮らしている人ともたくさん話ができた。尾道はなにか新しいことを始めるのにいい場所だと言っていた女性は、尾道に移り住んでカレー屋さんを始めようと思っているらしい。尾道に住んだらいいよという言葉を真に受けてしまいたくなるすてきな町だった。

 旅をして、その土地の暮らし、その土地で鳴る音楽に触れる時間が幸せだ。日常に連れて帰るにはきらめき過ぎた日をそれでも抱きしめながら、自分は自分の煤けた暮らしを、なんとかやっていこうと思う。

 涼しくなった頃にまた来よう。