おへそのおなか


私と嘔吐【閲覧注意】

※本当にずっと嘔吐の話ばかりで汚くて気持ち悪いです。閲覧注意です。









 今朝、目を覚ますと便座に突っ伏していた。不自然な体勢で寝たので体が痛い。分かりやすい二日酔いで頭も痛い。床に転がるiPhoneの中には送信済みの支離滅裂なメッセージが並んでいる。ブログの下書き画面には酔っぱらって打ったのであろう文が残っていたのでそのまま載せる。

下手したら惣菜背筋の汗遠くなっていく心地を心地よく感じな。いつの間にかトイレで嘔吐をしながら眠っていたらしい。電球が死人してくれているおかげで見ずに済んだ現実をレバーでひねって見ずに流す。枕がわりに便座に頬を押し付けて今日はこのまま寝ようと思う。吐瀉物にこすられた喉がひりひり

 嘔吐しながら残すほどの文章ではまったくない。ひどい夜だった。偉いのは一切部屋を汚していないことくらいだろう。



 思えば、嘔吐している姿を人に見せたことがない。



 人生で初めての嘔吐は寝ゲロであった。当時4歳だったと記憶しているが、朝起きると枕元がひんやりする。何やら赤いグチャグチャが枕を汚していて、私はすぐにそれがゲロだと分かった(それまでにゲロという概念は獲得していたらしい)。そして何を思ったかゲロを布団で覆い隠し、そのまま寝たふりをした。いよいよ保育園に行く時間になるのでと母親に布団を引き剥がされてゲロが見つかり、どうして隠したのかと叱られたのである。

 それからしばらくは嘔吐に無縁だったのだが、寝ゲロの経験が響いたのか、嘔吐恐怖症のような状態が続いた。何をしていても自分が嘔吐するイメージがつきまとうのだ。小学校で嘔吐下痢が流行った時、クラスメイトの1人が授業中に嘔吐した姿を目にした時は、もらいゲロ一歩手前だった。しばらくはその光景がフラッシュバックしてしまい、自分が人前で嘔吐する恐怖に怯えながら過ごしていた。嘔吐恐怖は高校生まで続いた。

 二十歳を超えると、どうやら大人は酒を飲みすぎた時にフランクに嘔吐するらしいということを知り、かなり恐怖がやわらいだ。飲み会中に友人が「ちょっと吐いてくるわ!」と明るく席を立った時には、なんと勇敢なことかと感動さえ覚えたものである。私も飲みすぎて気持ち悪くなると人知れずトイレに消え、ゲロを吐いた。死に際の猫のようである。

 それからも酒の席で何度も羽目を外して気持ち悪くなり嘔吐に至るのだが、人前で大事に至ったことはない(はず。忘れているだけだったらすみません)。最近は随分と嘔吐に対して寛容で、金曜日の夜が明けた町を歩いていて地面にゲロが散っていると清々しさすら覚えるし、酔っぱらって友人が吐いている姿は色っぽいなあ、とも思う。

 何より吐瀉物が自分の食道をせりあがってくるあの感覚が好きだ。わざわざ逆流してまで。ゲロの滝登り。ものすごいエネルギーを感じる。すすんで吐こうとは思わないが、慣れない酒に潰れた後、家に帰って安心な閉所の中行う嘔吐はなかなかうっとりする体験である。