おへそのおなか


2018年10月28日〜11月2日 デパートに明日の服はない

10月28日(日)

 渋谷の町がハロウィンで荒れている様子がしきりにタイムラインに流れてきたので、岡山もすこしは盛り上がっているのだろうかと気になって夜に町へ出た。月曜日を控えた町には、人間用のコートを羽織る所帯じみた悪魔4人が観測されるだけだった。がっかり。いや、さてはハロウィンは既に町からベッドへと舞台を移しているのではないかと下世話な想像を働かせてファミリーマートを覗いてみる。コンドームの在庫はたくさんあった。

10月29日(月)

 大学時代のLINEグループが久しぶりに動いてしまった。私が参加を断った結婚式の二次会でいい肉をもらった友人がいて(ビンゴ大会か何かだろう)、久しぶりに集まってみんなでその肉を食べようという提案だ。久しぶりに、と言っても私以外の4人が頻繁に会っていることは知っている。どうしよう。全然行きたくない。いっそグループを抜けることで意思表明をしたい。以前、何も言わずに抜けたことがあったのだが「ポ太郎、銀河のつどい(※温度感はそのままの仮グループ名)抜けんなよ。うちらはいつでも味方やけん」というアツいメッセージとともにまた招待されてしまった。とりあえず私以外の4人の話し合いにより具体的な日程が決まるのを待って、その日は偶然たまたま都合が悪いことにしよう。

10月30日(火)

 しゃぶしゃぶをした。しゃぶしゃぶを定義するものが何なのか分からないけど、私の家庭においては様々な食材を湯に通してごまだれ(あるいはポン酢)を付けて食べるものをそう呼んでいた。肉がなかったので代わりにハムを湯に通して、ごまだれを付けてみた。うーん。あり、では、ない。ですね。ハムの湯通し、無駄な工程。あとは冷凍庫の中で覇気を失っていたきのこ、昆布、大葉、油揚げ、など、とりあえずなんでも湯に通した。しゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶ。食べれば食べるほど薄くなるごまだれ。8倍濃縮のごまだれがあったらいいのになあ、と思いながら、食材をしゃぶり続けた。そういえば、しゃぶしゃぶを食べるとは言わないよな。ちゃんこは食べるのにね。

 スーパーに行くとおせちの予約が始まっていた。くらくらした。この前クリスマスケーキでくらくらしたばかりなのに。急く季節に取り残されるばかりの日々です。春よ迎えに来ておくれ。

 日本語をていねいに扱っている感じの人が、スマートフォンのことを「スマフォ」と略していて、スマフォ呼びに至るまでの過程やら葛藤を勝手に想像した。よかった。

10月31日(水)

 家であたたかい緑茶を作って水筒に入れて出かけた。夕方、水筒を開けた時にもあたたかいままだった。すげーっ。温度だけじゃなくて、朝の時間までそこに保存されている感じがした。うまく言えないけど、多分、夏だとこの感覚は持たない。寒い季節に、朝のあたたかさが残っているというのが、なんだかちぐはぐで、すげーっ、でした。

 明日久しぶりに友達に会うので、服でも買ってみようかしらと思ってデパートを覗いてみたんだけど、どこもかしこも冬だった。まあ、どうせ、お財布も、冬だから、何も、買えないんですケド。そういえば昔、急に白いポロシャツが必要になったことがあったんだけど、今くらいの季節だったのでユニクロにも無印良品にも見つからなくて、結局人に借りるということがあった。季節外れの服専門店、はやらないかな。

11月1日(木)

 昼から4人で遊ぶ予定だったんだけど、その内の1人が寝坊したため遅れて合流することに。3人で昼食(食べ方が分からないでっけーハンバーガー)を食べ終わった頃に寝坊した友達からLINEで場所を聞かれたので伝えたところ、「いまいえでたとこ!w」と返信があったので「単芝生やしてんじゃねーよ」と返しかけて、伝わらなかったらすごく嫌な奴だし、伝わったところですごく嫌な奴だし面白くもなんともない地獄の返しだということに気が付いたので、やめた。今後はもう思いつきたくもないものである。


でっけーハンバーガ

 でっけーハンバーガー、おいしかった。おいしかった、が落とし所になるというネタバレを踏まえて読んでもらえると助かるんだけど、ほんっっっとうに食べづらかった。とにかく分厚いのである。分厚い、というより、高い。ひとつの食べ物として認識するより、食材のひとつひとつがそれぞれに独立した食べ物として見た方が自然な気さえする。1人だったらいくら手を汚しても構わないけど、向かいには友達2人が座っているのでめちゃくちゃに食べる訳にもいかない。積むだけ積まれた協調性のない具材たちを、それでもなんとか崩さないように、すこしずつ、すこしずつ食べた。終盤には努力の甲斐むなしく紙の端を伝ってソースがこぼれたり、具材たちがばらばらになったりしてしまった。友達は綺麗に食べていたので、自分の食べ方が極端に下手なのは認めざるを得ない。がんばります。食べにくさでいえば、シュークリームも1人で食べるものだな。喫茶店で頼むとフォークがついてくるけど、フォークを使ったところで上手に食べられない。あと、結婚式で出てくる、なんか、カラフル魚卵みたいな料理ありませんか。あれもですね。食べるなら、1人でいる時に、指でつまんで食べたいですね。おいしかったです。


自動販売機のすこし引っかかる謝罪

11月2日(金)

 卵かけご飯が大の苦手である。である、んだけど、年に1回くらいは「もう食べられるようになったんじゃないのかしら」という気になって、試しちゃうのである。今日がその日だったのである。

 ちょうど朝米を炊いたのと、昨日買った卵があったので、気まぐれを思いつくにはちょうどよかった。炊きたての米を深めの椀によそってから、別の皿に割り入れた卵に醤油を垂らしてといたものを、ちょろりとだけかけてみた。一口食べて、ヴォエッ、ま、まずい! くさい! キモい! の三拍子です。しばらく離れていたのですっかり忘れることができていた卵かけご飯のあのねちょりとした食感が蘇り、すっかり箸が止まってしまった。とはいえ廃棄する訳にはいかないので、ざるで米を洗い、適当な食材と一緒に煮込んで、卵雑炊にした。

 そんなこんなをしていたら、サッと済ませて出かける筈だった朝飯に時間がかかってしまって、もう昼前だ。雑炊で腹が膨れたせいか随分と眠い。窓際にぴったりくっついているベッドに、生地の薄いカーテンを突き破って陽射しがこぼれているのに誘われて、ぽかぽかと昼寝をしているうちに、すっかり外は暗くなってしまった。まあ、たまにはこんな日があってもいいんじゃないか、いや、全然たまにじゃないんですけど。あはは、あはあは、でへへのへ。