おへそのおなか


2018年11月3日 人をセックスに使うな

 ライブハウスからの帰り道、私が自転車で車道の左側を走っていると、向かいから道幅いっぱいに広がる男2人と女1人のグループが歩いて来た。車通りが少ないためにそんなだらしない歩き方をしているんだろうけど、わざわざ避けるのも癪なのでそのまま直進してみたところ、男のうちの一人が「危ないっ」と言いながら女の尻寄りの腰を抱き寄せたのである。

 いくつか指摘したい。まず一つ、その「危ないっ」はあなた方が交通ルールを守っていないがために発生した「危ないっ」なので、まずは私に「すみません」と謝るべきでした。そしてもう一つ、危険から回避させたいならば尻寄りの腰を抱く必要はありません。せめて肩です。さては、女に際どいボディタッチを試みるために、わざと広がって歩いていたんじゃないか。そうだ。そうに決まってる。許さない。絶対に許さない。やらせじみたやらしいボディタッチで盛り上がった3人はこの後滅茶苦茶にやりまくるのであった。ここで今日のタイトルです。セイホーです。私はぎしぎしと軋むペダルを力尽くで漕ぎながら家に帰った。



 寒い日に家の扉を開けると、部屋のぬるい空気が体にまとわりつくようで気味が悪い。酷いことにキッチンも昼のまま散らかっている。昼食に使った皿がそのまま残っているシンク。入れたまま飲まずに冷めてしまった紅茶。茶こしに放置された茶葉はまだ濡れている。浅く水が張られた鍋ーーこいつは、昼にホットケーキを作ろうと思ったんですけど、生地を混ぜている時にふと、このまま蒸したらぐりとぐらのホットケーキみたいになるんじゃないのかと思って、その思いつきがとびっきり素敵なような気がして、自分を制することができなかったんですね。それで生地をといた器ごと鍋に入れて、浅く水を張って、蒸してみたんですけど、量が多いので待てど暮らせど刺した箸に生っぽい生地はつくし、表面はせっせと固くなっていくしで、だめだめでした。すこし食べてみたけど思い描いていた仕上がりとはてんで違ったので食べる気が失せて、とりあえずラップだけしてそのまま家を出たんですね、そいつもそのままキッチンにありました。ラップをはがす。一口だけ食べられた、かぴかぴの蒸しホットケーキ。うわあ、どうしよう。いかにもまずそう。でも食べなきゃな。帰ってから洗ってもいない手でつまんで食べてみる。あれっ、なぜだか、何だか、いける。ぱさぱさでもそもそしていて、決しておいしくはないんだけど、何だかいけるのである。リュックを背負ったまま完食。ついでに冷えた紅茶も流し込む。面倒だからお皿は水に浸けるだけ。明日の自分に負債を背負わせ、今日はもう寝ることにします。