おへそのおなか


2018年11月8日 決まり字はゴリ

 ゲロがゆを食べながらブログを書いています。冷蔵庫の中にある賞味期限が切れたものを全部入れてできた雑炊のことです。3秒で笑えるコンテンツが生まれ続けている国内最大級のお笑いWebサービス「bokete」にお題としてこの雑炊の写真を出したら「ゲロがゆ」と回答されそうな出来映えになってしまったのでそう呼びました。40いいねはつくかしら。そもそもboketeにおける賞賛の単位はなんなのかしら。ワハハ本舗ってなんだったんですか?



 ところで今朝スーパーに行きました。

 そこは24時間営業のスーパーで、その日の特売品が特売として売り出されるのは9時以降なんです。だからわざわざ8時にってあんまり行ったことなくて、今日はごみ出しのついでになんとなく行こうと思ったら、スーパーに行くまでの道にぎゅんぎゅんと通勤通学の自転車が走りまくっている。自分もかつてはこれくらいの時間に出勤してたな、なんて思いながら、寝巻き兼用のパーカーで髪もぼさぼさのまま歩いて、スーパーに着いた途端、急に空気がとろんとしたんです。

 通勤通学の人なんてひとりもいない。品出しをしているおじちゃんおばちゃん、精肉コーナーのおばちゃんなんかもう、ぽーっと宙を見つめては豚肉を置き、また見つめては豚肉を置き、また見つめては、の繰り返しです。肉も野菜も特になんにも安くなかったので素通りしつつ周りを見てみたら、お年寄り、とか、主婦っぽい人、ばっかり。若者も2人いたけど大きいリュックを背負って凶器になりそうな大きいハンマーのようなものを持っていたのでなにかしらのサークルメンバーでしょう。世の中の多数の人が持っている時計から見事にあぶれたような面々。私もその一員です。

 特に目的もなく来てしまったので、目についたアイスとおやつを買ってレジに並ぼうとしたら、この閑散とした店内でなぜかレジが混んでる。1レーンでも十分事足りるはずの空きっぷりなのに。覗いてみると、レジ打ちのおばちゃんが、まあおおらかな動きをなさる方で。しかし並んでいる人々も誰も急いでなんかいないから、ぼーっとしながら立っている。前に同じく私もしばらくぼーっとしてたんですけど、ぼーっとしているうちに、セルフレジの用意が整ってしまったみたいで、店員さんに声をかけられたんです。

「待ってるならこっちにどうぞ」

 ものすごく手際のいいおばちゃんで、私が戸惑っているうちにカゴをかっさらってセルフレジに誘導してくれたんです。私はやり方のわからないシステムがとんとだめなので、いまだにサブウェイの味も知らないんですけど、セルフレジなんてその典型ですね。今までずっと避け続けてきたのに。だけど今日は心強いことに誘導係のおばちゃんがいる。おばちゃん、バーコードに通す。私、見守る。おばちゃん、バーコードに通す。私、見守る。おばちゃんの左薬指には、在りし日に誓い合った愛がめりめりと埋まっている。むっちむち。これ、外せるのかしら。

「はい、あとはお願いします」

 えっ、なにを。

 急にセルフレジの番を替わられた。わからない。機械音声が、カードを入れろ、金を払え、釣りを取れ、レシートを取れとあれこれ指示してはくれるんだけど、どうにもワンテンポ遅れてくるので、私の行動はスリーテンポほど遅れを取って、周りから見ると完全に初見乙の状態である。でもなめられるのは嫌。商品を受け取って、次はなんだと体をこわばらせていると、「ゴリ」と聞こえたのでさっとその場を去った。背中に機械が語りかける。「用ありがとうございました」。私は初見ながらにして謝辞の決まり字を見極め、最短でその場を去ることに成功したのだ。



 家に帰る途中も、通勤通学の自転車が、忙しそうに走り回っていた。この人たちの持っている時計は強いなあ。家に帰って、早速アイスを食べようとした。スプーンをふたつ入れてくれていた。おばちゃん、私、両手使って食べるね。木のスプーンを両手に持った。食べにくすぎです。すぐ捨てた。家にある金属のスプーンで食べた。その瞬間、なんか、あーあ、どうしてこんな周回プレイみたいな人生歩んでいるんでしょうね。って思った。おわり