おへそのおなか


真夜中の目覚め

 決まって真夜中に目が覚める。

 軽さに全振りした安い羽毛布団を引き寄せて、どこか遠くの、駐車場だけがやけに広いローソンのことを考える。大きなトラックが停まって、運転手が、がらがらの陳列棚の中から、仕方なく目新しいだけの具のおにぎりを選ぶ。多分、ピリ辛ちくわマヨおにぎりとか、そんなやつだけ、やたら残っているのだ。暇つぶしで張り切ってみている店員にホットコーヒーを頼む。コンビニの灯りを背に、カップの縁をつまんで、トラックに乗り込む。心細さを煽るばかりのしみったれた街灯が並ぶ道を、トラックの灯りが鋭い光で割くように進んでいく。明るい場所だけ解像度が高くなる世界で、トラックが通り過ぎた後の道は、ついに処理落ちしてがたついたポリゴンになる。

 布団の中で姿勢を変えてみる。大人一人が満足に足も伸ばせないのは足元の方に畳み保留の洗濯物たちを積んでいるから。勇敢と無謀を履き違えたTシャツが、チキンレースに敗れ、今頃床に飛び込んでいるかもしれない。埃をかぶってしまい、着られないまま再び洗濯機行きだ。「どうせ畳めないんだからハンガーにかけっぱなしにすればいいのに」うるさいっ、だって、畳む方が、生活の質が、上がるような気がしたんだもん。やってみようと思ったんだもん。

 自分の熱でやけに温まった布団が、この季節には気持ちいい。一度覚めた意識をふたたび夢の世界に追い払いたくなる。かわいい子画像掲示板にドアラの画像を投稿し続けていたら、掲示板の住民から総叩きに遭う夢だった。次はもっとうまくやってみせる。マルチエンディングの夢を、つよくてニューゲームするんだ。だんだん自分の温もりが気持ち悪くなってきて、体を適当に這わせて、まだそれに毒されていないひんやりとした場所を探す。気持ちいい。手ぐせでまさぐりあてたiPhoneを開いてみる。Twitter、ブログ、どれにも特に通知はない。タイムラインを撫でて、深夜のレギュラーメンバーをひと通り眺めて、閉じる。24時間営業の、都会の松屋のことを考える。客層がうまく想像できなくて、やたら暗い顔をした若者をずらりとカウンター席に並ばせてしまった。

 まだ白む気配もない窓の外からも車の走る音がして、その車に乗っている誰かに話しかけながら、何となくまた、眠りに落ちる。